未だに許せないことがある
僕は大抵のことは許す、通称「許しの人間」なのだが、数年経った今でも腑が煮え繰り返るほど悔しく、僕の人格形成に悪影響を与えた出来事がある
遡ること中学2年生、僕の所属していたサッカー部は夏の大会2回戦で敗れ、例外なく先輩たちは引退、我々の代がサッカー部を主導して行く運びとなった。
僕の中学校は全体的に人数が少なく、毎年人数ギリギリでの活動を余儀なくされていた。かくいう僕の代も人数は六人。先輩たちの会議の末、比較的マシな僕が次期部長に任命された。
他の中学のことはよく知らないが、僕の中学校には「部長会」という組織があった
各部の部長の集まりで、数週間に一回集まり、式や催し物での活動や役割の取り決めを行なう組織である。
今考えると挨拶運動(毎朝下駄箱の前に立って登校してくる生徒に挨拶をする運動)や無言清掃(上級生が下級生の掃除担当場所にリーダーとして派遣され、しっかり掃除をしているか監視する係)などという狂気染みたことをしていたのだが、当時の僕は授業態度が悪く高校受験のための内申点があまりにも低かったため、そのような活動をすることで補おうと決めていた。
一番初めの部長会で、サッカー部顧問であり部長会担当であるK谷先生が皆に部長会長の立候補者がいないか問いかけた。僕はどうせ面倒ごとをやるならとことんやってやろう、内申点的にも得だろうと思い、即時挙手「僕、やりたいです!」と立候補した。
そのとき10数人いた他の部長たちは皆沈黙しており、よし、今日から僕は部長会長だと思ってK谷に視線をやると、なんとK谷は野球部部長の方に身を乗り出し、
「お前はいいのか?お前はいいのか?」
と聞いているではないか。
え、なにこれ?
数分後折れた野球部部長はじゃあ...といい立候補、K谷は「じゃあ、選挙するしかないか...」と言い出しやがった
そのとき僕は負けを確信していた。他の部長たちはみな知り合いだが、皆僕の素行を知っていたし、明らかに僕に任せようと思う人間などいないだろうと。
しかし結果は驚きの引き分け。
おいおいわかってるじゃねえか。中には密かにこのゲームを楽しんでいる”プレイヤー”がいやがる、普通を嫌い、革命を望む”プレイヤー”がいると...
幸い野球部部長はあまりやる気がなさそうだし、あとはいかに自分にやる気があるかアピールをしてトドメだ。部長会長の座は俺が頂くぞっ‼︎と思っていたところ
「この件、ひとまず俺に預けてくれないか?」
K谷はそう最後に言い残しその日の部長会会議は終了した。
次の日の朝練の時間、僕と野球部部長を呼び出したK谷は無情にもこう告げた
「いろいろ考えたんだけど、部長会長は野球部部長の方に任命する。僕君は彼のサポートしてやってくれ」
は????????
オレは人間じゃなかったんだ
宇宙はオレに興味がない
比類なき悪意と確固たる目的を携えて少年は町を歩いている